オンフィールドレビューは、VARの助言を受けた主審がピッチ脇のモニターで映像を確認し、自分の目で最終判定を下すプロセスのことです。 誤審を減らしつつも、最終的な決定権はあくまで主審に残すための仕組みで、Jリーグや日本代表戦でも日常的に使われています。 この記事では、オンフィールドレビューの意味や流れ、どんなシーンで使われるのか、VARオンリーレビューとの違い、日本代表戦での印象的な場面までを整理しながら、サッカーファンとしてどこに注目すると試合をもっと楽しめるのかを分かりやすくお伝えします。
オンフィールドレビューの基本を押さえよう
オンフィールドレビューとはどんな仕組みか
オンフィールドレビューは英語で「On Field Review」、略してOFRと呼ばれ、主審がピッチ外に設置されたモニターでリプレイ映像を見て判定を確認する手続きのことです。 VARは映像を基に「今のシーンはもう一度見た方が良い」と主審に助言し、その提案を受けた主審が実際にモニターの前に行きます。
オンフィールドレビューは「VARが決める」のではなく、「VARの助言を受けた主審が自分の目で最終決定を下すためのプロセス」です。
VARとの関係と役割分担
VARは「ビデオアシスタントレフェリー」の略で、フィールド外から映像を用いて主審をサポートする審判員を指します。 VARがチェックで明らかな誤りや見逃しを見つけたときに、オンフィールドレビューを主審に勧める形で関わります。 ただし、映像を見て最終的に判定を変えるかどうかはあくまで主審の判断であり、VARが直接判定を決めることはありません。
どこでレビューしているのか「RRA」という場所
主審が向かうモニターは「レフェリーレビューエリア(RRA)」と呼ばれ、ピッチ外の観客からも見える位置に設置されます。 これは「どのように判定を確認しているのか」をスタジアム全体に見える形にして、透明性を高める狙いがあります。 選手やチーム関係者はこのエリアに入ることが禁止されており、侵入すると注意や警告の対象になることもあります。
オンフィールドレビューが使われる主なシーン
基本となる4つの対象シーン
オンフィールドレビューを含むVARは、すべてのプレーではなく、国際基準で決められた「試合を左右する4つの場面」に限定して使われます。 その4つとは「ゴール(得点)」「ペナルティキック」「一発退場となるレッドカード」「人違いの警告・退場」です。
| 対象シーン | 具体的な例 | OFRになりやすいポイント |
|---|---|---|
| ゴールかどうか | 得点前にファウルがあったか、オフサイドだったか、GKへのファウルがあったか | 接触の強さ、キーパーへのチャージの程度など主観が絡む場面でOFRになりやすいです。 |
| PKかどうか | ペナルティエリア内での接触、ハンドかどうか、倒れ方がシミュレーションかどうか | 「本当にファウルなのか」「意図的なハンドか」が問題になるときにOFRが行われやすいです。 |
| 一発退場 | 危険なタックル、報復行為、相手への暴力的行為など | レッドかイエローかの境目のプレーでは、主審が映像を見て判断を見直すためにOFRが使われます。 |
| 人違い | 別の選手がファウルしたのに、誤って違う選手にカードを出した場合 | 誰が反則したのかを映像で確認し、正しい選手にカードを出すためにOFRが用いられることがあります。 |
ゴールシーンでのOFR
ゴールが決まったあと、主審が耳に手を当ててプレー再開を急がないときは、VARが裏でチェックしているサインです。 例えば、CKからのヘディングゴールの前に、味方が相手DFを押していないか、オフサイドポジションの選手がGKの視界を妨げていないかなどが確認されます。
ゴール後に主審がテレビシグナルをしてピッチ脇のモニターへ向かったら、「得点シーンのどこが問題になっているのか」を一緒に探しながらリプレイを見ると理解が深まります。
PKシーンでのOFR
ペナルティエリア内で選手が倒れたとき、主審は一度プレーを流してからVARのチェックで後からPKに変わる場合や、逆にPK判定が取り消される場合があります。 接触の強さ、ボールへのチャレンジかどうか、相手の足首への危険なタックルかどうかなど、主観が強く関わる場面が多いため、OFRが使われやすい領域です。
オンフィールドレビューが行われる流れとジェスチャー
VARチェックから主審のモニター確認までの流れ
試合中は、気付かないうちに常に「VARチェック」が行われており、対象の4つの場面で何か起きると自動的に映像確認が始まります。 主審は通常通り試合を進めながら、インカムを通じてVARから「今のシーンをチェックしている」と伝えられます。
VARが「明らかな誤審の可能性がある」と判断したときに、初めて主審に対してオンフィールドレビューが提案され、主審がモニターへ向かう形になります。
主審のジェスチャー(テレビシグナル)の意味
オンフィールドレビューの際に最も分かりやすいのが、主審が両手で四角形を描く「テレビシグナル」です。 これは「今から映像確認を行う」という宣言で、決定が一度止まり、リプレイを見てから最終判定を出すことを意味します。
試合中によく見られる動きとしては、まず主審が耳に手を当ててVARと会話し、その後にテレビシグナルを出してRRAに向かいます。 ジェスチャーの意味を知っておくと、「今は裏で何が起きているのか」をイメージしながら落ち着いて待てるようになります。
レビュー後のアクションとアディショナルタイム
オンフィールドレビューを終えた主審は、再びピッチに戻り、新たな判定を大きなジェスチャーで示します。 例えば、PKの取り消しならペナルティスポットを指し直さずゴールキックやスローインの方向を示し、レッドカードに変更ならカードを掲げて対象選手を退場させます。
OFRにかかった時間はアディショナルタイムに加算されるため、VAR導入後は全体的にロスタイムが長くなったと言われています。
OFRと「VARオンリーレビュー」の違い
なぜ主審がモニターに行かない場面があるのか
試合を見ていると、「さっきはモニターを見に行ったのに、今度は行かない」という場面が出てきます。これは「VARオンリーレビュー」が使われている可能性があります。 VARオンリーレビューとは、事実関係が映像で明確に確認できるケースで、VARの助言だけで主審が判定を変更するやり方です。
オフサイド位置にいたかどうか、ボールが腕に当たったかどうかなど、客観的に白黒がはっきりする事象は、主審がモニターに行かずVARだけで判断をサポートすることがあります。[7][4][3]
OFRが使われるのは「主観」が必要なシーン
一方でオンフィールドレビューが用いられるのは、「どれくらい危険なタックルだったか」「接触の強さがファウルと呼べるレベルか」「ハンドが意図的だったか」など、主審の主観的な判断が求められる場面です。 VARはあくまでも「もう一度見た方がいい」と提案するだけで、最終的にどう感じるかは主審の感覚に委ねられます。
観ている側が感じる「基準の違い」
サポーター目線では、「あのシーンはOFRになったのに、さっきはならなかった」というモヤモヤを感じることがあります。これは、VARや主審の「明らかな誤審かどうか」という基準や、その試合ごとのファウルの取り方の流れなどが影響しています。
OFRはあくまで「明らかな誤り」を正すための仕組みであり、グレーゾーンすべてを白黒つけるための制度ではないことを知っておくと、判定への受け止め方が少し変わってきます。
オンフィールドレビューのメリットと課題
OFRによるメリット
オンフィールドレビューの最大のメリットは、明らかな誤審を減らし、試合の公平性を高めることにあります。 ゴールやPK、退場といった試合の結果を大きく左右する場面で、後から映像を確認して判定を正せるようになりました。
また、主審が自ら映像を見て決断することで、「なぜこの判定になったのか」という納得感が高まりやすい点も重要です。 OFRは単なるビデオ判定ではなく、「主審が責任を持って判断するための再確認の機会」を提供していると捉えると、その価値が見えやすくなります。
OFRのデメリットや課題
一方で、OFRには試合の中断時間が長くなるという課題があります。モニターを見に行く移動時間や複数アングルの映像確認により、スタジアムもテレビ観戦も「待ち時間」が生まれます。 この時間はアディショナルタイムに加算されるものの、プレーのリズムが切れることをストレスに感じるファンも少なくありません。
また、「どのレベルならOFRになるのか」が視聴者には見えにくく、試合ごとに基準が違うように感じられることもあります。 判定の一貫性やスピードと、正確性や納得感のバランスをどう取るかは、VARとOFRが今後も議論され続けるポイントです。
メリット・デメリットを整理する
観戦者として冷静にOFRを捉えるために、良い面と課題を簡単に整理しておくと理解しやすくなります。
| 側面 | 内容 |
|---|---|
| メリット | 誤審の減少、公平性の向上、選手やファンの納得感向上、試合後の大きな論争を減らす効果が期待できる。 |
| デメリット | 試合の中断が長くなる、基準が見えにくいと感じられる、感情の爆発が一度止まることで「喜び方」が変わる。 |
| 今後の課題 | 運用基準の共有や説明のわかりやすさ、レビュー時間の短縮、スタジアム内への情報提供などが求められている。 |
日本代表戦とオンフィールドレビュー
日本代表の国際試合でのOFR事例
日本代表の試合でも、ワールドカップやアジアカップといった国際大会でオンフィールドレビューが試合展開を大きく動かしたシーンがいくつもありました。 例えば、アジアカップのベトナム戦では、CKからの吉田麻也のヘディングゴールが一度は認められながら、VARチェックとOFRの結果オフサイドと判定されて取り消された場面がありました。
また、U-23日本代表の試合では、田中碧のタックルが当初はノーファウルだったものの、VARの助言によって主審がOFRを行い、一発退場のレッドカードに変更されたケースも話題になりました。 日本代表戦でもOFRは「流れを変えるワンプレー」として登場し、試合の結果や大会の行方にまで影響を与えてきました。
日本代表戦をOFR目線で楽しむコツ
日本代表の試合では、サポーターとして感情が入りやすい分、「なんで今のがPKなのか」「なぜカードが出たのか」と疑問も強くなりがちです。そこで、OFRが入ったシーンでは、判定が覆るかどうかだけでなく、リプレイのどのポイントを主審が見ていそうかを意識しながら見ると理解が深まります。
例えば、日本の選手がペナルティエリア内で倒れた場面なら、「相手の足がボールに先に触ったか」「足首への踏みつけになっていないか」「腕の振りが顔に入っていないか」などに注目してみると、主審の視点を追体験しやすくなります。 こうした視点を持つことで、判定への不満だけでなく、「あそこでOFRが入ったのはこういう理由かもしれない」と自分なりに考えながら観戦できるようになります。
スタジアム観戦でのOFRの見え方
日本代表戦をスタジアムで観るときは、主審のジェスチャーとスタジアムビジョンに注目するとOFRをより楽しめます。耳に手を当てる仕草を見たら「今チェック中だな」と構えて、テレビシグナルが出たら「これからOFRが入る」と理解しておくイメージです。
代表戦の熱気の中でも、OFRの流れや意味を知っていると、単なる中断時間ではなく「試合のクライマックスの一部」として味わえるようになります。
観戦者として知っておきたいOFRのチェックポイント
どんなときにOFRが入りやすいか
試合を見ながら「そろそろOFRが入るかも」と予測できるようになると、観戦がかなり楽しくなります。ポイントになるのは、ゴール、PKの判定、レッドカード級の激しいコンタクトがあった直後です。 特に、主審が近くにいなかったシーンや、複数の選手が絡んで見通しが悪かった場面では、VARの介入とOFRが入りやすくなります。
「大きな判定」かつ「主審の視界が難しそうだった場面」は、OFR候補として頭の片隅に置いておくと良い目印になります。
テレビ観戦での注目ポイント
テレビ観戦では、実況や解説が「今VARがチェックしています」などと伝えてくれるので、それに合わせてリプレイ映像をじっくり見るのがおすすめです。 接触の有無だけでなく、ボールに先に触っているか、相手選手の足の位置、腕の高さ、タックルのスピードなど、細かいディテールに意識を向けてみてください。
OFRのあとに主審がどんな判定を下したかを見て、「自分ならどう見るか」と照らし合わせることで、徐々に審判目線の見方が身についていきます。
まとめと日本代表戦をもっと楽しむために
オンフィールドレビューの要点整理
オンフィールドレビューは、VARの助言を受けた主審がピッチ脇のモニターで映像を確認し、自ら最終判定を下すプロセスです。 対象となるのは、ゴール、PK、一発退場、人違いという「試合を決定づける4つの場面」に限られており、主観的な判断が必要なときに特に用いられます。
OFRは誤審を減らすための仕組みであると同時に、主審の権限と責任を守りながら公平性と納得感を両立させるための工夫と言えます。
観戦時に押さえたいOFR目線
試合中に主審が耳に手を当てたら「VARチェック中」、テレビシグナルを出してモニターに向かったら「OFRに入った」と理解し、ゴール、PK、退場、人違いのどこが問題になっているのかを意識しながらリプレイを見ると、判定の背景が見えやすくなります。 VARオンリーレビューとの違いを知っておけば、「なぜ今はモニターに行かなかったのか」という疑問も整理しやすくなります。
日本代表戦をOFR込みで味わうために
日本代表の試合では、OFRが流れを変えるターニングポイントとして登場することが少なくありません。ワールドカップやアジアカップでのゴール取り消しやPK、退場シーンの裏には、必ずVARとOFRのやり取りがあると意識して見ると、試合のドラマが一段と深く感じられます。
次に日本代表やJリーグの試合を見るときは、判定への感情だけでなく、「今、VARと主審は何を見て何を議論しているのか」を想像しながら、オンフィールドレビューにも注目して観戦してみてください。 きっと、90分の中に新しい楽しみ方が見つかるはずです。



